生きがいは、あとから気づくもの

探してすぐにみつかるものもあれば、そうでないものもありますよね。

津田 慶

11/22/20251 分読む

生きがいは、探しに行って見つかるものだと思われがちです。
でも、少し立ち止まって振り返ってみると、そうでもないことが多いように感じます。

なぜか続いていたこと。
やめてもよかったのに、手放さなかったこと。
当時は特別だと思っていなかったけれど、今思うと「悪くなかったな」と感じる時間。

生きがいは、そうしたちょっとした感覚の中に、ひっそりと育っているのかもしれません。

「あなたの生きがいは何ですか?」

そう聞かれて、すぐに答えられる人は多くありません。
むしろ、「分からない」「まだ言葉にできない」と感じる人のほうが自然です。

生きがいという言葉は、どこか立派で、完成された答えを求められているように聞こえることがあります。
だから、「ちゃんと説明できない自分は、まだ見つかっていないのでは」と不安になる人も少なくありません。

でも、生きがいは最初からはっきりした形で存在しているものではありません。

私がキャリアコーチングの場で大切にしているのは、
生きがいを「決めること」ではなく、「気づいていくこと」です。

そのため、いきなり
「これがあなたの生きがいです」
という答えを出すことは、ほとんどありません。

代わりに、こんなことを一緒に振り返っていきます。

なぜか続けてきた仕事や役割。
忙しい時期でも、完全には手放さなかったこと。
うまくいかなかったけれど、不思議と記憶に残っている小さな頃の経験。

そこには、その人の価値観や大切にしている感覚が、自然と表れています。

生きがいは、人生の中心にどんと据える「最終目的」ではなく、
日々の選択や経験の中で、少しずつ輪郭を持ってくるものだと私は考えています。

だからこそ、若い世代の方や、キャリアの途中にいる方にとって、
「まだ分からない」という状態は、決して遅れているわけではありません。

むしろ、生きがいが動き続けている途中にいる、ということでもあります。

キャリアコーチングは、答えを教える場ではありません。
これまでの歩みを一緒に眺めながら、
言葉になっていなかった感覚に、そっと名前をつけていく時間です。

生きがいは、探し出すものというよりも、
あとから振り返って、「ああ、これだったのかもしれない」と気づくもの。

もし今、
「自分の生きがいが分からない」
と感じているなら、それは何も足りていないからではありません。

ただ、まだ言葉になる手前にあるだけなのだと思います。

最近、
なぜか続いていることはありませんか。
やめてもよかったのに、残っているものはありませんか。

そこに、生きがいの芽が、もう育ち始めているかもしれません。