AI時代に強くなろうとしている組織や人たちの共通点

私が見聞きした限りでは、AI時代に強くなろうとしている組織や人には、共通して3つの要素が見られました。

津田慶

6/12/20261 分読む

この2週間程で、AI時代に強くなろうとしている組織や人たちの共通点が少し見えてきました。 I've started to see a few common elements among those starting to thrive in the age of AI.

東京で働く外資系企業の方々、日本の大企業でグローバルな仕事に携わる方々、日本の製造業やインフラの未来を担う技術者の方々、リーダーや経営層の方々、日本の学校教育の未来を親身になって考えている方々、そして、個人事業主、スタートアップ、副業に挑戦する人達...

日本という比較的コンパクトな国の地の利もあって、この2週間で本当に多くの方々と直接お会いする機会に恵まれました。

世代も、国籍も、業界も、事業規模も異なる人たちと、ここまで短期間に「越境」しながらリアルに対面・対話を重ねることなど、2〜3年前の私には想像もできませんでした。

しかし今は、LinkedInでつながり、オンラインで会話し、イベントに参加し、実際に会う。

そんなことが、ごく自然にできる時代になっています。

そして興味深かったのは、それぞれ置かれている立場や業界は違うにもかかわらず、多くの人が共通して同じテーマに向き合っていたことです。

「AIは、自分自身の働き方やキャリア、そして組織のあり方をどう変えていくのか?」

この2週間の対話を通じて、その輪郭が少し見えてきた気がしています。

私が見聞きした限りでは、AI時代に強くなろうとしている組織や人には、共通して3つの要素が見られました。

① 率先性 × 専門性 × 好奇心を持っている

まず感じたのは、AIに対する不安や期待の大きさは、年齢や役職よりも「実際に使っているかどうか」に左右されるということです。AIを率先して試している人ほど、「仕事が奪われる」という恐怖よりも、「どう活用できるだろう」という好奇心を持ってらっしゃいます。

一方で、AIを使うこと自体が競争優位になる時代は長く続かないとも感じていらっしゃいます。

最終的に「差」になるのは、その人が学び、育み、創造する専門性だと気づかれている。

技術者なら専門知識や実験を通して得られる自信や確信、デザイナーならデザインセンスや感性を言葉にする力や協働力、営業ならお客様ひとりひとりとの寄り添い方。そうした専門性を磨き続けられる人、そしてAIを代替者ではなく増幅器として活用できる人が優位に立つのでしょう。

② 道具・ツールの使い方や買い方そのものを最適化しようとしている

次に見えてきたのは、企業や個人事業主の関心が単なる「AIを導入するかどうか」から、その先へ移り始めていることです。

どのツールを選ぶのか、いくつ選ぶのか、誰に使ってもらうのか、どの業務に組み込むのか、どのように成果を測るのか...

そういった議論が急速に現実味を帯びてきています。

そして興味深いのは、生成AIやAIエージェントが組み込まれることよってソフトウェアの価値そのものが変わり始めていることです。

かつて私たちはハードウェアを買い、ソフトウェアを買い、その後SaaSの利用権を買うようになりました。では次は何でしょうか。

もしかすると私たちは、「ソフトウェアへのアクセス権」ではなく、「事業や組織にマッチするAIが仕事に参加する権利」に対してお金を払う時代へ向かっているのかもしれません。

③ 組織的なガバナンス × インセンティブを考え、試験導入している

そして最後は組織です。
AIの活用は、個人の努力だけでは限界がありますし、みんながそれぞれ違った使い方をしていては、部分的な効率化は実現できるかもしれません。しかし、それだけでは組織全体の価値創造にはつながりません。

実際に企業間での「本音の意見交換会」で聞こえてきたのは、技術的な課題よりも組織的な課題がメインでした。

どこまで使ってよいのか。誰が責任を持つのか。失敗したらどうなるのか。どうやってスキル・人材を養成し、「やる気・モチベ-ション」を持続させるインセンティブを導入して、率先して取り組む人を増やすのか。

AIで強化されたツールやワークフローをうまく取り入れている組織は、ルールを作るだけではなく、「試してよい」「学んでよい」という雰囲気や場づくりにも力を入れていらっしゃいました。

ガバナンスは人を縛るためではなく、安心して挑戦するためにある。そしてインセンティブは、成果だけでなく学習や挑戦そのものを後押しするためにある。

そして、その導入の仕方が難しい、けれど他社よりも早く上手くできるとそれが競争力や協働力の増強につながる。

そんな考え方が必然的に広がっているように感じます。そして最適解を見つけるためにも、先進的な会社さんでは、段階的に、繰り返し、試験導入をされています。


この2週間で見えてきたのは、AI時代に強い組織とは、単に最新のAIツールを導入した組織ではないということです。

率先して学び続ける人がいて、その人達の専門性とその探求を支えるAIツールを選び、挑戦を後押しする組織文化があり、人がAIを使いながら成長できる環境を試行錯誤をしながらも整備している。

そうやって、人、道具、組織。この3つの方向性・ベクトルがある程度揃いはじめた時、AIは脅威や煩わしいものではなく、「実感できる可能性」に変貌するのだと思います。

まだ私自身も考察の途中ですが、この景色は MathWorks 主催の MATLAB EXPO 2026 Japan や、alliz 主催の Riding the AI Wave、GRANDSLAM 主催の「個人の発信が、事業を動かす時代」といったイベントにお集まりになった登壇者や参加者のみなさんとのリアルな対話を通じて、その輪郭が見えてきたものです。

みなさんの現場では、どんな景色が見えていますか。
まだ霧の中でしょうか。それとも、おぼろげながら輪郭が見え始めているでしょうか。


写真は、学問の神様として知られる 北野天満宮 で撮った一枚です。修学旅行生の姿を見ながら、AI時代になっても結局はこれからも『学び続ける人たち』が未来を切り拓いていくのだろうと感じました。

AIは強力なツールですが、それを活かすのは学び続ける人たちの「率先性」と「専門性」、そして尽きることのない「好奇心」なのだと思います。

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