協働のトリセツ
「協働のトリセツ」と聞いて、何を思い浮かべられますか。「協働」という言葉は知っていても、その具体的な「やり方」を教わった記憶は、意外とないのではないでしょうか。
津田慶
7/10/20261 分読む


「協働のトリセツ」と聞いて、何を思い浮かべられますか。
「協働」という言葉は知っていても、その具体的な「やり方」を教わった記憶は、意外とないのではないでしょうか。
学校では勉強を教わりながら、「友達と仲良くしなさい」とか言われます。
会社では仕事を教わりながら、「チームワークで乗り切りましょう」とか言われます。
では、どうすれば仲良くなれるのでしょうか。どうすればチームワークを発揮し、お互いの力を引き出しながら、上手く協働しながら勉強や仕事を進められるのでしょうか。
その具体的な「やり方」や「コツ」を教わる機会は、あまりなかったように思います。
にもかかわらず、私たちは多様な価値観を持つ人たちと一緒に働いています。年代も、経験も、役職も、国籍も違う仲間と日々協働する時代を生きているのです。
そんな時代だからこそ、「協働」にもトリセツがあっていいのではないか...
実は、このことを私は一年ほど前から考え続けています。
最近は、「多様性を活かしましょう」「グローバルに協働しよう」という言葉を耳にする機会が増えました。
私も、その考え方には大いに賛成です。でも、その一方で、ふと疑問に思うのです。
「具体的にどうしたらええの?」
その「やり方」は、意外と体系化されていないように感じます。
ここで少し、「協働のトリセツがない世界」をイメージしてみませんか。
「何でも聞いてね」と言われたのに質問したらいやな顔をされた。
「自由にやってみて」と言われたのでそうしたら、「なんで相談してくれなかったの」と言われた。
「あと5分で終わらせます」が本当に5分だったことはない。
ベテランは「ほら簡単でしょう」、でもその簡単が一番難しい。
AIにはすぐ聞けるのに、隣の先輩にはむちゃ聞きづらい。
「ダイジョウブ」と言われたのに、本当は全然大丈夫じゃなかった。
日本人なら「無双ゲーム」が、多国籍になったらゲームオーバー...
では、協働が上手くできているチームには、最初から立派なトリセツがあったのでしょうか。
私の経験上、その答えは「ノー」です。
前職では、ISO9001に沿ってたくさんのStandard Operating Procedure(SOP)を書いたりレビューしたりもしてきました。SOPは「何をするか」を教えてくれます。でも、「人とどう協働するか」は、ほとんど書かれていませんでした。すくなくとも私がレビューしたものに関しては。
これまで長年、多国籍・多文化のチームの一員として働いてきましたし、時にはそのようなチームをリードする立場にもありました。
でも、そこにきれいに製本された「協働のトリセツ」があったわけではありません。ですが、今振り返ると、うまく協働できていた頃のチームには、確かに共通する「作法」のようなものがありました。
たとえば、わからないことを「わからない」と言える空気。
いきなり正解を求めるのではなく、まず考えを見せ合う習慣。
時間の使い方を、お互いへの配慮として扱う感覚。
相手を責めるのではなく、状況・行動・影響、
そして、意図を分けて伝えるフレームワーク。
そうした何気ない作法や型があるだけで、言語や文化、経験値の違いは「壁」ではなく、「学び合うきっかけ」になっていたように覚えています。
つまり、協働力は気合いや、いっしょに仕事するだけではその向上に限度がある。
実は、「協働力」は体系化して、学ぶことができるし、作法として意識することで習慣化できる。そして、チームで多様性を高めながら、いっしょに育てていくことができる。
私は今、それを企業研修の現場で実践に移しています。
試行錯誤を重ねながら、「協働のトリセツ」を少しずつ形にしています。
協働は、才能ではなく作法。
私はそれを証明したい。
だから今日もせっせと協働のトリセツをつくっています。
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