生きがいってそもそも何なのでしょう?
生きがいを土台としたキャリアコーチングってどんなものかを簡単にご説明いたします。
津田 慶
5/8/20241 分読む
「生きがい」
ちょくちょくSNSでもキャリア相談でもでてくるキーワードですが、そもそもどういった定義がなされているのでしょうか?現在2つの代表的な考え方が出回っていますので、それを使って「生きがいとは何か?」をいちど整理してみたいと思います。 そして、キャリアコーチングの場で私がどのように活用しているのかのイメージもお伝えします。
1.海外で広まった生きがいベン図
海外のSNSやビジネス書でよく見かけるのが、四つの円が重なるベン図です。あなたも見たことありませんか?
あなたが好きなこと
あなたが得意なこと
世界が求めていること
それでお金をいただけること
この四つが重なる中心が「IKIGAI」だと言われています。
とてもわかりやすく、特にキャリアの目的や方向性を考えている人にとっては便利なフレームワークです。
ただし、このベン図は日本古来のものでも日本人が考案したものではありません。
もともとはキャリアの目的を明らかにするためにスペイン在住の占い師の方が考案されたものなのです。そして、その中心のキーワードを生きがいに差し替えたのは英国在住の方です。ですからIKIGAIベン図というのは欧州由来のコンセプトということになりますね。
だから日本人が認識する「生きがい」とはちょっとズレているんです。
2.神谷美恵子先生が示された、「生きがい」
日本で生きがいの概念を深く研究されたのが、精神科医・神谷美恵子先生です。
先生は、生きがいを「人生の中で、心が向かうもの」「自分を引き上げてくれる何か」、そして第一に生きがいは感じるもの、としてとらえています。
さらにポイントが三つあります。
生きがいは、成果やお金だけでは測れないし得られない
小さな喜びや、ささやかな時間にも宿っている
人とのつながりや、自分の物語の中で育っていくもの
つまり、生きがいは人生の中心や最終目的を指すのではなく、日々の経験の中で「じわっと心が動く方向性」のようなものです。
キャリアコーチングの場で、この二つをどう使い分けるのか?
私がコーチングの場で大切にしているのは、この二つをあわせて使うことです。
最初はベン図で、わかりやすく整理します。好き・得意・求められること・価値になること。これらを一緒に見ていくと、その方のキャリアの方向性が自然と浮かび上がってきます。
そこからもう一歩進んで、神谷先生の視点を取り入れます。心が動いた瞬間はどこにあったのか。どんな時に「もう少し続けたい」と感じたのか。
その人だけが持つ物語の流れを丁寧に拾いながら、その方ならではの生きがいの“芽”を見つけていきます。
生きがいは「ひとことで言い切れる正解」ではなく、「その人の歩みにそっと寄り添って、形を変えながら育っていくもの」だと私は思っています。
もし今、キャリアの方向性に迷っているなら、ベン図で“整理”して、生きがいで“深める”。
その二つを重ねることで、あなたらしい道が、きっと見えやすくなります。
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